貸主・借主双方の視点から「定期借地借家契約」を解説します。

定期借地借家契約とは?

定期借地借家契約イメージ

定期借地借家契約とは、平成11年(1999年)に導入された比較的新しい賃貸契約の形です。
簡単にまとめると契約時点で期間を定めた賃貸契約の方式で、基本的に期間満了後は更新せずに借り手側が引き渡しをする流れになります。

 

従来の賃貸契約は借手に有利な条件が多く、転勤など一定期間だけ家を空ける場合でも賃貸契約後のトラブルを懸念して空き家にしてしまう人が多かったです。
定期借地借家契約であれば、任意の期間だけ所有している不動産を賃貸に出して家賃収入を得ることができます。

 

 

普通借家契約との違い

普通借家契約との違いに疑問を持つ男性

賃貸向けの物件情報サイトなどに載っている物件の多くは普通借家契約になっています。
名前の通り、一般的でごく普通の賃貸契約方式になっていて、主に2年ごとの更新があり貸主側は正当な事由がない限り更新の拒絶をできません
また、普通借家契約の場合は最低1年以上の期間が必要で、1年未満の期間を定めた場合は法的に無効で1年契約の扱いになってしまいます。

 

定期借家契約は、数ヶ月から数十年以上など任意の期間で契約することができ、満期になった際には貸主都合で更新拒否をできるのが最大の特徴です。

 

なお、定期借家契約の場合でも、貸主は期間満了の1年前から6ヶ月前までの間に、借り主に契約が終了する(更新しない)旨を告知する必要があります。

 

 

定期借地借家契約にする理由

普通借家契約ではなく定期借家契約にするのは以下の理由があります。

 

  • 満了後にオーナーが自ら住む予定がある(転勤など)
  • 数年後に取り壊しの予定がある
  • 空き地を数年後に新築する予定がある(子供に住ませるなど)
  • 新築の投資用物件(1年限定で新築のプレミアムを付けるなど)
  • 迷惑行為をする住人は追い出したい(シェアハウスなど)

 

このように、転勤など個人都合で定期借地借家契約を結ぶほか、投資用物件で活用する事例も多数見られます。
なお、古い物件でも明確な取り壊し・建て替え時期が決まっていない場合は、普通借家契約でも老朽化による正当な事由で更新を拒絶することが可能です。
活用事例について、もっと詳しく知りたい方はコチラをご覧ください。
(参考記事:どのようなケースで利用される?

 

 

一般的な期間は?

定期借地借家契約は貸し手側の都合で任意に期間を設定できますが、実際に賃貸に出している物件情報を見ると半数以上が12ヶ月の期間になっています。

 

個人が売りに出すケースでも5年未満になっていることがほとんどで、5年超えになると借地借家法での賃貸借を活用する事例が多いです。
長期間の賃貸を希望している場合は、2年更新の普通借家契約を結んで、更新時に更新料を取った方が貸し手側は有利になります。

 

ちなみに定期借地借家契約でも敷金・礼金の初期費用を取るケースが多く、極端に期間の短い物件は借り手を見つけにくくなってしまうので注意しましょう。

 

 

中途解約は可能?

定期借地借家契約でも一般的に1ヶ月以上前の申し入れによって中途解約が可能です。
なお、解約を申し入れる時期やルールについては、契約ごとに特約で細かいルールが定められている場合があります。
定期借地借家契約を結んでも満了日まで家賃収入が保証されるワケではないので注意しましょう。

 

 

借地借家法での賃貸借との違い

契約の種類

借地借家法での賃貸借は主に借地権による土地のみの長期契約が主流で以下の種類があります。

 

普通借地権(更新あり)
期間 30年以上
契約の更新 正当な事由がなければ更新拒絶できない

 

一般定期借地権(更新なし)
期間 50年以上
契約の更新 更新しない特約可

 

一般定期借地権(更新なし)
期間 30年以上
契約の更新 法的ルールなし、主に解約時は建物を土地所有者へ譲渡

 

事業用定期借地権
期間 10年以上50年未満
契約の更新 原則更新なし

 

契約方式や特約の有無で大きく変わってきますが、居住用物件の場合は基本的に30年以上の長期契約が必要で、建物は借り手側が用意するルールです。

 

また、借地借家法で借地権付きの土地に住んでいる場合は、状況に応じて譲渡(売却)することが可能で、この場合の契約残存期間は新しい買い手に引き継がれます。
主に土地を手放す予定がないけど中長期的に土地を自らの自己活用する予定がない方が活用するケースが多いです。

 

土地のオーナーから見れば、自ら建物を建てたり駐車場や資材置き場として普通に賃貸を出した方が収益性がありますが、借地借家法によって土地だけ貸せば、建物のトラブルを保証する必要がなく、安定した長期契約を結べるメリットがあります。
主に、オーナー自身は使う予定がないけど、子供の代に土地を残したい場合に活用される事例が多いです。

 

借地借家法での賃貸借と定期借地借家契約の違いは、期間や建物の所有権が異なり、短期は定期借地借家契約。土地のみを長期で貸したい場合は借地借家法を活用するのがセオリーです。

 

 

法律と傾向を理解する

法律の勉強

定期借地借家契約は普通の賃貸と契約で異なるルールがあるほか、借り手が見つかりにくいなど賃貸契約する際の傾向が違います。

 

借りる場合は大家が本当に更新する予定がないのか?それともトラブル防止のために定期借家契約を結んでいて、物件自体は投資用物件として継続的に更新させる予定があるのかを見極めましょう。

 

当サイトは法的ルールの解説だけではなく、不動産賃貸業界において定期借地借家契約がどのように活用されているのか、実際の事例や傾向を交えながら注意点や貸す時・借りる時のポイントを解説しています。

 

 

抵当権は付けられる?

定期借地契約又は定期借家契約中の物件を担保にお金を借りることは可能なのでしょうか?結論から申し上げますと、貸している物件であっても担保にすること(抵当権の設定)が可能です。
代表的な例だと「不動産担保ローン」が挙げれますが、一般的な金銭消費貸借契約の担保として利用することもできます。

不動産担保ローン比較

 

なお、万が一返済が滞ってしまった場合、担保として提供していた不動産が競売に掛けられてしまい、賃借人が退去せざるを無い状況になっていまいます。
最悪の場合、損害賠償問題に発展していまいますので、特に注意する必要があります。

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